新しいライフスタイルの一つ「ソーシャルヒッピー」

ヒッピーに学ぶ、古くて新しいネットワーキング。自由な発想、トップダウンではない、 緩やかなつながりで、僕たちのライフスタイルは変わる。僕が見てきた様々なコミュニティ体験談を通して、既成のライフスタイルを変えていく方法を解き明かしていきます。

アメーバの様なつながり

ヒッピーたちは、世界中にいます。国籍は関係なく、重要なのは、彼らは世界中にくまなく分布し、移動するひとつのネットワークになっていることです。特に興味深いのは、彼らが人と繋がるそのスピード感。あたかも前から知っていたかのように自然と仲間になり、 一週間共に行動したかと思えば、また新しくグループを創り、細胞分裂のようにどんどん繋がっていく。それはまるで、都市生活者のLINEグループや、FacebookグループのようなSNSでのネットワークキングとネットサーフィンに酷似している。また、彼らは自らを音楽や、服装、作品創り(アクセサリー、楽器、服)を通して、表現し、ブランド化され、口コミでどんどんネットワークを広げていく。結果的に彼ら自身が移動する広告体となり、自分の情報を行く先々で置いていく。それは作家、アーティスト、クリエイターやブロガーのように、ブランド化した個人のネットワーキングにそっくりです。

共生する

60年代に生まれたヒッピームーブメントは「正義無きベトナム戦争」への反対運動を発端とし、愛と平和を訴え徴兵や派兵に反発した若者達がヒッピーの中心です。戦争に反対し、徴兵を拒否し、自然と平和と歌を愛し人間として自由に生きるというスタイルで、戦時下 にあった全米で一大ムーブメントが起こりました。その後、共同体を創り、物質主義から 離れ、自然と調和したライフスタイルを目指し始める。ここで生まれたのが社会実験ともいえる共同生活を期間的に行う「レインボーギャザリング」でした。レインボーギャザリングは年に一回、一カ国、開催場所が選ばれる。人工物ない大自然の中で、何千、何万の人間が集まり、共同生活をする。

0から始まるコミュニティ創り

僕がこれまでレインボーに行ったなかで、記憶に新しいのは2012年12月、マヤカレンダーが終わると言われていたあの日に、メキシコのマヤ遺跡の近くで、ソレは開催されていた。ほとんど初めて出会う人たちが何千人という中で、大自然のなか、共存して生活する。自然のモノをつかって、みんなで竹を切ったり、ロープを使ったり、川から水を引いたりし ながら、メイン広場、キッチン、トイレ等、衣食住に必要な生活基盤を創っていく。自然 の中に足を踏み入れた僕たちの歩く場所が重なり合って、道になり、時間が経つにつれて小道や大通りが生まれる。もちろんその脇にあるのは草木や川。テントがひしめくキャン プ住宅地、泥を使って土釡を創ったピザ屋が生まれ、丘の上ではコーヒーを創っては皆に配っている人が現れ、いつの間にかコーヒーマウンテンと呼ばれるようになった。皆が持 ち合った薬やハーブは一カ所に集められて、診療所が生まれた。川を渡る橋(ざっくりと切られた木の板等)が渡され、移動に新しい導線が引かれる。導線が変わると、もちろん会う人も変わる。そこでアイデアが生まれ、アイデアを元にグループが生まれ、何かを作り出していく。道や区画は木の枝のようにどんどん成長し、細分化され分類される。あらかじめ決められたグランドデザインは無く、来た人が好きな場所に好きなことを提示して いるだけ。みんなが主役なのです。村が出来上がり、同じ価値観、文化、コトバをもった グループが生まれ、ギャザリングの人口は日に日に増していった。気がつけば、そこには町があった。

刹那的に生まれ、発展するコミュニティ。コミュニケーション、組織、精神性、そのすべ てが一ヶ月間で生まれ、無くなる。新月に始まり、満月で最高潮を迎え、新月に終わる。 レインボーギャザリングで体験したことは、古くて新しいコミュニティ創り。原始の村が 出来ていく様を映像で早送りに見ていたかのようだった。これを現代のコミュニティ創り にいかせないだろうか?各々が自発性を持つことができれば、そしてこのアメーバのように繋がっていくネットワーキングを創り出すことができれば、それは、コミュニティスタートアップの一つの方法になるかもしれない。

古くて新しいネットワーキング

僕がレインボーギャザリングで経験したことは、インターネットのバーチャル世界で起こっているネットワーキング(SNSグループやネットサーフィン)がヒッピーのアナログな ネットワーキング(共同体と緩やかなつながり)と似ているという話です。 ヒッピーたちは、まるでインターネットの回線のように世界中に旅人として張り巡り、つながり、時には共同体になったり、分離して行動をしたり、行ったり来たりを繰り返すその様は、サーバーとそこを行き来する僕たちのコンピューターネットワーキングのようです。 50年も前のコミュニティ創りの方法論に、ITテクノロジーで繋がっていく僕達が回帰しようとしている。それはインターネットが持つ有機的、生体的なネットワーキングに本質がありました。 インターネットの本質を象徴する言葉として、「自律・分散・協調」という概念があります。これは、各自が「自律」してどこに「分散」していても「協調」して動くという意味です。言い換えれば、コントロールする中心(リーダー)がなく、自分の興味に基づいて 役割を担い、互いに影響し合いながら、緩やかなつながりをもって機能し続けます。そして、レインボーギャザリングもまた、自律・分散・協調しながら出来上がるコミュニティのひとつです。

 

文章:鯉谷ヨシヒロ

#かくめい発起人。「ソーシャルヒッピー」メキシコに移住してはや、10年。写真家、建築家として活動をするかたわら、ホースキャラバンNPO法人ノーマッズユナイテッド立ち上げに参加。馬で移動するコミュニティ、世界で最も燃料消費の少ない団体として、のべ600人以上がプロジェクトに参加、一カ所に定住しない「移動するコミュニティ」を創る。既成のエコビレッジのあり方をアップデートすべく、世界中のコミュニティを巡る。「コミュニティと旅」をテーマにして、中南米を中心に活動。現在、ライフスタイルの#かくめい を起こすべく、世界中どこへ行っても居場所がある形「ファイナルランド」を構築中。現在、タイ、メキシコ、日本にて世界同時多発コミュニティ作りをしている。 絡みたい方、ご相談はこちらまで▶︎https://www.facebook.com/yoshihiro.koitani